フリーダム・ブリッジ引渡式典(令和4年5月19日)
令和4年5月27日



5月19日、日本と南スーダンは、ともにフリーダム・ブリッジの開通をお祝いしました。フリーダム・ブリッジの引渡式典には、サルヴァ・キール・マヤルディット大統領、リアク・マシャール・テニー第一副大統領、ジェームズ・ワニ・イッガ経済クラスター担当副大統領、タバン・デン・ガイ・インフラクラスター担当副大統領、ライラ・アモロ・オディンガ・インフラ開発担当上級代表及び元ケニア首相、サイモン・ミジョク・ミジャク道路橋梁大臣が出席されました。また、日本からは、堤尚広大使の出席に加え、田中明彦JICA理事長、三品孝洋建設技研インターナショナル代表取締役社長、馬場義雄大日本土木代表取締役社長がフリーダム・ブリッジ開通の歴史的瞬間をお祝いするため式典に参加されました。
堤尚広大使による挨拶全文
本日、皆様と共にFreedom Bridge(フリーダム・ブリッジ)の開通式に参加でき誠に光栄です。
まず何より、この橋の建設チームである、JICA、建設技研、大日本土木の皆さんを讃えたいと思います。彼らこそがこの橋を完成させました。このチームは、日本、南スーダン、第三国の人から構成され、最高の技術、プロ意識、自己犠牲を遺憾なく発揮し、同時に、多くの南スーダン技術者達に技術を伝授しました。彼らは日本の誇りです。
キール大統領、列席の高官、南スーダン政府が、建設チームが困難を解決するために必要な支援をしてくださったことに感謝します。
日本は、南スーダンの独立以降、熱心に同国を支援して来ました。UNMISSから開発事業、人道支援に至るまで、700億ドル以上の資金を投入し、4,000人以上の日本人が参加しました。この機会に、根本的な質問を投げかけたいと思います。「何故、日本は南スーダンを支援するのでしょうか?」
私の考えを申し上げます。日本には、南スーダン支援の5つの理由と動機、言い換えれば利害関係があります。
第一に、南スーダン支援は、日本の政策「積極的平和主義」と完全に合致します。日本は、平和構築の取り組みを知れば、それがどんなに日本から離れていても、その努力を進んで支援します。それは、その平和構築は世界全体の平和の不可欠な構成要素であり、日本の安全は世界の平和に依存しているからです。つまり、南スーダンの平和と国づくりへの支援は、この「積極的平和主義」の具現化なのです。
第二に、日本は「人間の安全保障」が世界中で実現することを願っています。人間の安全保障は、全ての人が安全で尊厳ある生活を送ることができ、能力を最大限に伸ばすことができる、そのような環境を作ることです。日本は、長い間内戦で苦しんできた南スーダンの人々にこそ、人間の安全保障が確保されるべきと考えます。私は、南スーダンでの人間の安全保障の実現に貢献することは、日本の歴史に輝かしい1ページを加えることになると考えます。
第三に、日本は東アフリカの安定を必要としています。東アフリカは日本にとってアフリカ大陸へのゲートウェイです。南スーダンの平和と安定は東アフリカの平和と安定と相互補完関係にあります。日本は、南スーダンがこの地域の安定勢力であり続けることを期待しています。
第四に、日本は、国際社会における諸課題において南スーダンの協力を求めています。諸課題には、例えばルールに基づく国際秩序、国連改革、環境などがあります。現在までのところ、この面での二国間協力は極めて良好です。南スーダンは、多くの国際選挙において日本を支持してくれました。日本は、2022年3月24日の国連総会における、ロシアの侵略の下でのウクライナ人道状況改善の決議に南スーダンが賛成したことを高く評価します。今後とも、日本は南スーダンの協力を得て、ルールに基づく国際秩序等、国際社会の平和、安全と繁栄を支える普遍的な価値を守っていきたいと考えます。
第五に、日本は、活発な二国間交流を期待しています。南スーダン産の蜂蜜は日本の健康意識の高い人々の間で人気があるそうです。また、前橋市が1年以上の期間、南スーダンの東京オリンピック・パラリンピックチームを受け入れたことは、草の根交流の好例です。今後さらなる交流を見たいと思います。
このような5つの理由と動機、それにその成果を見れば、日本と南スーダンの二国間関係は一方的なものではなく、互恵的なものであったし、今後もそのようなものとなると言えるでしょう。
日本は、最近南スーダンが統一軍編成に関する合意をはじめ、R -ARCSS(2018年9月の和平合意)の実施に関し、大きく前進させたことを高く評価します。それは、南スーダン政府の、この国を平和で豊かで民主的なにするのだという、揺るがぬリーダーシップの表れです。
南スーダンの友人の皆さん、日本は、南スーダンが平和と国家の建設に向かって自助努力を継続する限り、そばでこれを応援し続けます。そして、この二国間関係が将来さらに相互に互恵的なものとなるよう強化したいと思います。
南スーダンの友人の皆さん、フリーダム・ブリッジは今、皆さんの手に渡りました。是非、可愛がってください。この橋は、皆さんのために一生懸命働きます。この国の発展を支え、人々の暮らしと幸せのために、「明日に架ける橋」のように身を捧げるでしょう。そして、フリーダム・ブリッジは日本と南スーダンの「真の友情」の象徴として、今後何世代にも渡って聳え立つでしょう。
ありがとうございました。
まず何より、この橋の建設チームである、JICA、建設技研、大日本土木の皆さんを讃えたいと思います。彼らこそがこの橋を完成させました。このチームは、日本、南スーダン、第三国の人から構成され、最高の技術、プロ意識、自己犠牲を遺憾なく発揮し、同時に、多くの南スーダン技術者達に技術を伝授しました。彼らは日本の誇りです。
キール大統領、列席の高官、南スーダン政府が、建設チームが困難を解決するために必要な支援をしてくださったことに感謝します。
日本は、南スーダンの独立以降、熱心に同国を支援して来ました。UNMISSから開発事業、人道支援に至るまで、700億ドル以上の資金を投入し、4,000人以上の日本人が参加しました。この機会に、根本的な質問を投げかけたいと思います。「何故、日本は南スーダンを支援するのでしょうか?」
私の考えを申し上げます。日本には、南スーダン支援の5つの理由と動機、言い換えれば利害関係があります。
第一に、南スーダン支援は、日本の政策「積極的平和主義」と完全に合致します。日本は、平和構築の取り組みを知れば、それがどんなに日本から離れていても、その努力を進んで支援します。それは、その平和構築は世界全体の平和の不可欠な構成要素であり、日本の安全は世界の平和に依存しているからです。つまり、南スーダンの平和と国づくりへの支援は、この「積極的平和主義」の具現化なのです。
第二に、日本は「人間の安全保障」が世界中で実現することを願っています。人間の安全保障は、全ての人が安全で尊厳ある生活を送ることができ、能力を最大限に伸ばすことができる、そのような環境を作ることです。日本は、長い間内戦で苦しんできた南スーダンの人々にこそ、人間の安全保障が確保されるべきと考えます。私は、南スーダンでの人間の安全保障の実現に貢献することは、日本の歴史に輝かしい1ページを加えることになると考えます。
第三に、日本は東アフリカの安定を必要としています。東アフリカは日本にとってアフリカ大陸へのゲートウェイです。南スーダンの平和と安定は東アフリカの平和と安定と相互補完関係にあります。日本は、南スーダンがこの地域の安定勢力であり続けることを期待しています。
第四に、日本は、国際社会における諸課題において南スーダンの協力を求めています。諸課題には、例えばルールに基づく国際秩序、国連改革、環境などがあります。現在までのところ、この面での二国間協力は極めて良好です。南スーダンは、多くの国際選挙において日本を支持してくれました。日本は、2022年3月24日の国連総会における、ロシアの侵略の下でのウクライナ人道状況改善の決議に南スーダンが賛成したことを高く評価します。今後とも、日本は南スーダンの協力を得て、ルールに基づく国際秩序等、国際社会の平和、安全と繁栄を支える普遍的な価値を守っていきたいと考えます。
第五に、日本は、活発な二国間交流を期待しています。南スーダン産の蜂蜜は日本の健康意識の高い人々の間で人気があるそうです。また、前橋市が1年以上の期間、南スーダンの東京オリンピック・パラリンピックチームを受け入れたことは、草の根交流の好例です。今後さらなる交流を見たいと思います。
このような5つの理由と動機、それにその成果を見れば、日本と南スーダンの二国間関係は一方的なものではなく、互恵的なものであったし、今後もそのようなものとなると言えるでしょう。
日本は、最近南スーダンが統一軍編成に関する合意をはじめ、R -ARCSS(2018年9月の和平合意)の実施に関し、大きく前進させたことを高く評価します。それは、南スーダン政府の、この国を平和で豊かで民主的なにするのだという、揺るがぬリーダーシップの表れです。
南スーダンの友人の皆さん、日本は、南スーダンが平和と国家の建設に向かって自助努力を継続する限り、そばでこれを応援し続けます。そして、この二国間関係が将来さらに相互に互恵的なものとなるよう強化したいと思います。
南スーダンの友人の皆さん、フリーダム・ブリッジは今、皆さんの手に渡りました。是非、可愛がってください。この橋は、皆さんのために一生懸命働きます。この国の発展を支え、人々の暮らしと幸せのために、「明日に架ける橋」のように身を捧げるでしょう。そして、フリーダム・ブリッジは日本と南スーダンの「真の友情」の象徴として、今後何世代にも渡って聳え立つでしょう。
ありがとうございました。