南スーダン通信 A Letter from the Ambassador of Japan to South Sudan

平成27年6月1日

第1回 UNMISS自衛隊派遣施設隊の活躍

 本年4月に駐南スーダン日本国大使として着任した紀谷昌彦です。よろしくお願いします。日本と南スーダンの様々な関わりについて,両国の人たちや国連をはじめ幅広い関係者に,より良く知っていただければと思っています。これから大使館のウェブサイト上で,「南スーダン通信」として折に触れてお伝えしていきます。

 第1回のテーマは,国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)の自衛隊派遣施設隊の活躍です。4月27日に当地に着任した際,西村修自衛隊派遣施設隊長の出迎えを受けました。まだ1か月にしかなりませんが,日本の自衛隊が,当地の国連の活動と南スーダンの復興に大きく貢献していることを日々実感しています。

 第一に,UNMISSの様々な部隊の活動を支える役割です。現在UNMISSは,南スーダンの文民保護や人権監視,人道支援,停戦合意履行支援などのために,約1万2千人もの要員を全土に展開しています。自衛隊派遣施設隊の約350人はジュバにあって,各国部隊がきちんと機能するための下支えをしています。例えば,最近新たにジュバに展開した中国部隊の駐車場の整備や,増派される他国部隊のコンテナハウス構築,そして給水支援など,厳しい環境の中でUNMISSが活動するために不可欠の施設を整備し,サービスを提供しているのです。ロイ国連事務総長特別代表,テスファマリアム軍事司令官からも,自衛隊の模範的な活動に対する感謝のことばをいただきました。我が国自衛隊の能力とモラルを,国連PKO参加国をはじめ広く世界に知ってもらう,またとない機会でもあると感じています。

部隊のコンテナ構築を視察するロイSRSG(写真提供:自衛隊) 国連メダル授与式に出席するテスファマリアム軍事司令官(写真提供:自衛隊)
部隊のコンテナ構築を視察するロイSRSG
(写真提供:自衛隊)
国連メダル授与式に出席するテスファマリアム軍事司令官
(写真提供:自衛隊)


 第二に,南スーダンの復興に向けての支援です。自衛隊派遣施設隊は,国連のマンデートの中で,大使館やJICA,そして国際機関とも協力しながら,南スーダンの人たちに直接役に立つ,様々な活動を行っています。今月,JICAが支援するジュバ多目的職業訓練センターから自動車整備研修員を受け入れる「さくらプロジェクト」を実施しました。JICAによる河川港整備に必要な防護柵も設置し,竣工式には運輸・道路・橋梁大臣も出席してテレビや新聞でも広く報道されました。UNHCRやWFPなど国際機関の支援活動のための施設整備にも協力しています。このような成果は,南スーダンで,日本のみならずUNMISSに対する信頼と評価も高めています。

部隊のコンテナ構築を視察するロイSRSG(写真提供:自衛隊) 防護柵竣工式の様子(写真提供:自衛隊)
「さくらプロジェクト」実習の様子(写真提供:自衛隊) 防護柵竣工式の様子(写真提供:自衛隊)


 第三に、文化交流です。私は当地に来るまで十分承知していませんでしたが,約350人の自衛隊員は,文化面でも様々な「特技」を持っています。日々,施設活動をしている隊員は,空手,柔道,剣道、銃剣道などの武道,サッカーなどのスポーツ,更には茶道や山形の花笠踊りなど,各種行事などの機会を捉えてデモンストレーションや交流、親善試合を行っています。UNMISSの幹部や他国部隊,そして南スーダンの政府要人や一般の人たちに対して,日本の文化のすばらしさを伝える素晴らしい活動だと思っています。

国連メダル授与式での空手(写真提供:自衛隊) 日・南スーダン・サッカー親善試合(写真提供:自衛隊)
国連メダル授与式での空手(写真提供:自衛隊) 日・南スーダン・サッカー親善試合(写真提供:自衛隊)


 私は,以前防衛本省や外務本省で自衛隊の国連PKO派遣を担当していましたが,現地で彼らの活動に日々接し,その意義の大きさを肌身で感じています。これからも,自衛隊が南スーダンと国際社会のために一層活躍するとともに,それがより多くの人たちに広く知ってもらえるよう,努力していきたいと思います。

(了)