南スーダン通信 A Letter from the Ambassador of Japan to South Sudan
平成27年6月15日
第2回 国連や国際機関を通じての日本の貢献
南スーダンは,2011年7月に独立した世界で最も新しい国で,紛争や開発など様々な課題に直面しています。そのため,国連や国際機関が各々の専門知識やネットワークを生かして,様々な分野で平和と自立を実現するための支援を行っています。
これら国際機関の当地事務所では,多くの邦人職員が活躍しています。所属先は,国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS),国連難民高等弁務官事務所(UNHCR),国連児童基金(UNICEF),世界食糧計画(WFP),国連地雷対策サービス(UNMAS),国連プロジェクトサービス機関(UNOPS),赤十字国際委員会(ICRC)と幅広く,人数は合わせて16名(自衛隊員を除く),うち女性は14名と多数派です。また,JPO派遣制度の出身者は8名,国際平和構築人材育成事業の出身者は4名に上り,これらの制度・事業は邦人職員による国際機関を通じた貢献に大いに役立っています。
着任早々の5月中旬,中満泉・国連開発計画(UNDP)危機対応局長が当地を来訪した際に,当地の国際機関邦人職員とJICA,自衛隊施設隊との意見交換会を開催しました。この国の開発課題や今後の支援策,オールジャパンの連携のあり方について様々な意見を伺い,当地の国際機関邦人職員の層の厚さと役割の大きさを改めて感じました。
日本は本年2月,南スーダンの人道危機に対応する国際機関やNGOを通じた平成26年度補正予算による支援として,約8,800万ドルを拠出し,その大部分を南スーダン国内で実施しています。対象国際機関は10以上で,分野は教育,保健,食糧,シェルター,和解促進など多岐に亘ります。2013年12月の政治危機発生後の人道支援総額は,1億1200万ドルに上ります。
5月下旬,国連人口基金(UNFPA)を通じた支援の現場を訪問しました。首都ジュバ市の国内避難民キャンプ内にある産科病院は,約2万人の国内避難民をカバーし,毎月約100人の安全な出産を助けています。厳しい環境の中,現地の医師,助産婦やスタッフが病院内を清潔に保ち,献身的に活動していました。また,ジュバ教育病院にあるUNFPAの倉庫で,北部3州を中心に活動する国際NGOに対する医療物資供与式を行いました。僻地での安全な出産に不可欠な医療セットやマットレス,太陽光発電機などがきちんと管理され,必要な場所に送達されていました。本年3月,日本はUNFPAには320万ドルを支援しています。
6月上旬には,西エクアトリア州の州都ヤンビオを訪問し,UNICEFが支援する「勉強に戻ろう(Back to Learning)」キャンペーンの開始式典に出席しました。何千人もの子供たちが市の中央広場で一同に会する巨大な行事で,その熱気に圧倒されました。全国で40万人の子供たちを就学に戻す取組で,西エクアトリア州では4万人が対象です。何よりも嬉しかったのは,バンガシ州知事自身が先頭に立って,子供や親に対して,教育が平和と開発にとって如何に大事なものか,わかりやすい言葉で熱弁を奮っていたことです。州知事は,仕事の傍ら大学で安全保障の修士課程を続け,本年卒業予定の由。「自分は今も勉強している。この州では誰もが勉強を続けよう。」と強く訴えていました。この州の将来に希望を感じました。この機会にヤンビオの中央病院も訪れ,日本のユニセフ支援で先週完成した太陽光給水システムを,州知事,州保健大臣,ユニセフ事務所長とともに視察しました。本年3月,日本はUNICEFには950万ドルを支援しています。
国連や国際機関を通じた支援は,各機関が持つ専門知識やネットワークを生かしながら,迅速に実施できることが強みです。日本からのメッセージもきちんと伝わり,その中で邦人職員も活躍しています。これからも,国連や国際機関を通じた支援の現場を訪問し,JICAや自衛隊施設隊とも連携しながら,南スーダンの人たちの自立と発展のために,一層効果的な支援を進めていきたいと考えています。
これら国際機関の当地事務所では,多くの邦人職員が活躍しています。所属先は,国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS),国連難民高等弁務官事務所(UNHCR),国連児童基金(UNICEF),世界食糧計画(WFP),国連地雷対策サービス(UNMAS),国連プロジェクトサービス機関(UNOPS),赤十字国際委員会(ICRC)と幅広く,人数は合わせて16名(自衛隊員を除く),うち女性は14名と多数派です。また,JPO派遣制度の出身者は8名,国際平和構築人材育成事業の出身者は4名に上り,これらの制度・事業は邦人職員による国際機関を通じた貢献に大いに役立っています。
着任早々の5月中旬,中満泉・国連開発計画(UNDP)危機対応局長が当地を来訪した際に,当地の国際機関邦人職員とJICA,自衛隊施設隊との意見交換会を開催しました。この国の開発課題や今後の支援策,オールジャパンの連携のあり方について様々な意見を伺い,当地の国際機関邦人職員の層の厚さと役割の大きさを改めて感じました。
国際機関邦人職員,JICA,自衛隊施設隊との意見交換会 | 国際機関邦人職員と大使館職員の懇談会 |
日本は本年2月,南スーダンの人道危機に対応する国際機関やNGOを通じた平成26年度補正予算による支援として,約8,800万ドルを拠出し,その大部分を南スーダン国内で実施しています。対象国際機関は10以上で,分野は教育,保健,食糧,シェルター,和解促進など多岐に亘ります。2013年12月の政治危機発生後の人道支援総額は,1億1200万ドルに上ります。
5月下旬,国連人口基金(UNFPA)を通じた支援の現場を訪問しました。首都ジュバ市の国内避難民キャンプ内にある産科病院は,約2万人の国内避難民をカバーし,毎月約100人の安全な出産を助けています。厳しい環境の中,現地の医師,助産婦やスタッフが病院内を清潔に保ち,献身的に活動していました。また,ジュバ教育病院にあるUNFPAの倉庫で,北部3州を中心に活動する国際NGOに対する医療物資供与式を行いました。僻地での安全な出産に不可欠な医療セットやマットレス,太陽光発電機などがきちんと管理され,必要な場所に送達されていました。本年3月,日本はUNFPAには320万ドルを支援しています。
国内避難民キャンプの産科病院 | 国際NGOに対する医療物資供与式 |
6月上旬には,西エクアトリア州の州都ヤンビオを訪問し,UNICEFが支援する「勉強に戻ろう(Back to Learning)」キャンペーンの開始式典に出席しました。何千人もの子供たちが市の中央広場で一同に会する巨大な行事で,その熱気に圧倒されました。全国で40万人の子供たちを就学に戻す取組で,西エクアトリア州では4万人が対象です。何よりも嬉しかったのは,バンガシ州知事自身が先頭に立って,子供や親に対して,教育が平和と開発にとって如何に大事なものか,わかりやすい言葉で熱弁を奮っていたことです。州知事は,仕事の傍ら大学で安全保障の修士課程を続け,本年卒業予定の由。「自分は今も勉強している。この州では誰もが勉強を続けよう。」と強く訴えていました。この州の将来に希望を感じました。この機会にヤンビオの中央病院も訪れ,日本のユニセフ支援で先週完成した太陽光給水システムを,州知事,州保健大臣,ユニセフ事務所長とともに視察しました。本年3月,日本はUNICEFには950万ドルを支援しています。
「勉強に戻ろう」キャンペーン開始式典 | ヤンビオ中央病院の太陽光給水システム |
国連や国際機関を通じた支援は,各機関が持つ専門知識やネットワークを生かしながら,迅速に実施できることが強みです。日本からのメッセージもきちんと伝わり,その中で邦人職員も活躍しています。これからも,国連や国際機関を通じた支援の現場を訪問し,JICAや自衛隊施設隊とも連携しながら,南スーダンの人たちの自立と発展のために,一層効果的な支援を進めていきたいと考えています。