南スーダン通信 A Letter from the Ambassador of Japan to South Sudan
平成27年7月15日
第4回 南スーダンの現場のニーズに応える日本のNGO
南スーダン赴任前の4月に外務本省で,南スーダンを支援する日本のNGO関係者にお会いしました。日本のNGOは,包括的和平合意(CPA)直後の2005年から,南スーダン支援を進めています。ジャパン・プラットフォーム事務局の説明に続いて,難民を助ける会,ピースウィンズ・ジャパン,日本紛争予防センター,ADRA Japan,ワールド・ビジョン・ジャパンの各団体から,国内避難民の生計支援や給水・衛生支援など多岐にわたる活動内容を伺いました。2013年12月の政治危機を受けて,南スーダンから駐在員を退避させましたが,その後も長年培った基盤と専門性を活かして出張ベースで支援を続けており,熱意と思い入れを感じました。
赴任後,日本のNGOによる貢献を早速視察させていただきました。ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は当初,ジョングレイ州で井戸・トイレの建設や衛生教育に長年取り組んできましたが,政治危機以降は活動拠点をジュバ近郊に移しています。まずはUNMISS文民保護地区の国内避難民・難民キャンプで,THESOという現地NGOと連携してトイレ・バスルーム建設、ゴミ回収と衛生教育を始め,更にジュバ郊外のグンボにあるサレジオ修道会の国内避難民キャンプにも活動を拡大しています。先日,その双方の現場を訪問しました。
数千人から数万人に膨れ上がった巨大なキャンプを目の前にして,安全な水とトイレ,そして衛生教育は,命にも関わる深刻な問題であると実感しました。折しも,ジュバでは先月からコレラが流行し始めています。
衛生普及員の会合,トイレ・バスルームやゴミ回収などの現場を視察して,政府の配慮がなかなか行き届かない現場のニーズに応えるために,NGOが大きな役割を担い,効果を上げていることを実感しました。POCキャンプでは、コミュニティの村長から、日本の人たちに感謝の言葉を伝えてほしいと言われました。また、日本のNGOが現地のNGOの資金による調達・管理・報告などの能力強化を行い、他の援助国・機関の資金も動員しながらサービスの質と量の拡充を進めていることにも感銘を受けました。
日本紛争予防センター(JCCP)は,これまでジュバとその近郊で,ストリートチルドレンに対する啓発教育や若者に対する職業訓練,そして女性に対する暴力の被害者支援や生計向上などを通じた予防活動を行ってきました。上記のサレジオ修道会とも協力していて,その敷地内の活動現場を訪問しました。JCCPの支援で設けられた児童公園では子供が遊んでいましたが,大人向けの各種研修もそこで行われているとのことです。
今般,南スーダンで20年以上にわたり非暴力・平和共存啓発活動を行っている現地NGO(ONAD)と連携して,様々なコミュニティを対象に,暴力でなく対話を通じた紛争解決のためのワークショップを開催する事業を新たに始めました。南スーダンでの部族間の対立と抗争の歴史は根深いものがあります。日本の知恵やアフリカ諸国での経験も生かしながら,現地NGOをサポートすることで,南スーダン人自身による和解推進の努力を後押しする試みで,今後の発展を期待しています。
その他,難民を助ける会(AAR)は東エクアトリア州とケニアの難民キャンプで,井戸や給水塔の建設や衛生教育を行い,ADRA Japan(ADRA)とワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)はエチオピアの難民キャンプで南スーダン難民のために水・衛生・教育支援を行っています。
日本のNGOは,それぞれの経験と強みを生かして,政府を通じた支援では行き届かない現地の人たちのニーズにきめ細かく配慮し,現地NGOの能力強化を進めながら、草の根レベルでの支援を展開しています。このような支援を活かし,更に拡充していくためにも,早期の平和の実現が不可欠です。先週,南スーダンは独立4周年を迎えました。南スーダンの人たちが,2013年12月の政治危機を乗り越えて,一刻も早く平和を実現するように,幅広い関係者の声に耳を傾け,平和に向けての様々な努力を後押ししていきたいと思います。
赴任後,日本のNGOによる貢献を早速視察させていただきました。ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は当初,ジョングレイ州で井戸・トイレの建設や衛生教育に長年取り組んできましたが,政治危機以降は活動拠点をジュバ近郊に移しています。まずはUNMISS文民保護地区の国内避難民・難民キャンプで,THESOという現地NGOと連携してトイレ・バスルーム建設、ゴミ回収と衛生教育を始め,更にジュバ郊外のグンボにあるサレジオ修道会の国内避難民キャンプにも活動を拡大しています。先日,その双方の現場を訪問しました。
数千人から数万人に膨れ上がった巨大なキャンプを目の前にして,安全な水とトイレ,そして衛生教育は,命にも関わる深刻な問題であると実感しました。折しも,ジュバでは先月からコレラが流行し始めています。
衛生普及員の会合,トイレ・バスルームやゴミ回収などの現場を視察して,政府の配慮がなかなか行き届かない現場のニーズに応えるために,NGOが大きな役割を担い,効果を上げていることを実感しました。POCキャンプでは、コミュニティの村長から、日本の人たちに感謝の言葉を伝えてほしいと言われました。また、日本のNGOが現地のNGOの資金による調達・管理・報告などの能力強化を行い、他の援助国・機関の資金も動員しながらサービスの質と量の拡充を進めていることにも感銘を受けました。
国内避難民キャンプでの衛生普及員との会合 |
国内避難民キャンプのゴミ回収ポイント |
日本紛争予防センター(JCCP)は,これまでジュバとその近郊で,ストリートチルドレンに対する啓発教育や若者に対する職業訓練,そして女性に対する暴力の被害者支援や生計向上などを通じた予防活動を行ってきました。上記のサレジオ修道会とも協力していて,その敷地内の活動現場を訪問しました。JCCPの支援で設けられた児童公園では子供が遊んでいましたが,大人向けの各種研修もそこで行われているとのことです。
今般,南スーダンで20年以上にわたり非暴力・平和共存啓発活動を行っている現地NGO(ONAD)と連携して,様々なコミュニティを対象に,暴力でなく対話を通じた紛争解決のためのワークショップを開催する事業を新たに始めました。南スーダンでの部族間の対立と抗争の歴史は根深いものがあります。日本の知恵やアフリカ諸国での経験も生かしながら,現地NGOをサポートすることで,南スーダン人自身による和解推進の努力を後押しする試みで,今後の発展を期待しています。
![]() サレジオ修道会の児童公園での教育活動 |
![]() ONADの研修風景 |
その他,難民を助ける会(AAR)は東エクアトリア州とケニアの難民キャンプで,井戸や給水塔の建設や衛生教育を行い,ADRA Japan(ADRA)とワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)はエチオピアの難民キャンプで南スーダン難民のために水・衛生・教育支援を行っています。
日本のNGOは,それぞれの経験と強みを生かして,政府を通じた支援では行き届かない現地の人たちのニーズにきめ細かく配慮し,現地NGOの能力強化を進めながら、草の根レベルでの支援を展開しています。このような支援を活かし,更に拡充していくためにも,早期の平和の実現が不可欠です。先週,南スーダンは独立4周年を迎えました。南スーダンの人たちが,2013年12月の政治危機を乗り越えて,一刻も早く平和を実現するように,幅広い関係者の声に耳を傾け,平和に向けての様々な努力を後押ししていきたいと思います。