南スーダン通信 A Letter from the Ambassador of Japan to South Sudan
13回 日・南スーダン関係を新たな段階へ
先月,UNMISS派遣自衛隊施設部隊が5年以上に亘る任務を終了するに際して,宮島内閣府国際平和協力本部事務局長,田中派遣自衛隊施設隊長と私は,キール大統領に挨拶する機会をいただきました。キール大統領からは,友人である日本の施設部隊が,誠実かつ献身的に多くのすばらしい仕事を成し遂げてくれたことに感謝する,この5年間の日本の施設部隊による貢献を南スーダンの国民と政府は決して忘れないとの言葉がありました。私達からは,部隊派遣期間中に南スーダン政府及び国民から頂いた協力に対し,御礼を申し伝えました。
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大統領,内閣府PKO事務局長,施設隊長,本使 | 我が国施設部隊の出発 写真提供:UNMISS |
自衛隊施設部隊の活動終了は,決して我が国のUNMISSに対する支援の終了を意味するものではありません。我が国はUNMISSに施設部隊が使用していた重機や発電機などを譲与し,また引き続きUNMISSの司令部に対する要員派遣という形で,UNMISSの活動に貢献していきます。
キール大統領は,我が国が引き続き南スーダンの国家建設を支援するよう,期待を表明しました。実際,我が国の南スーダンに対する協力は不変であり,自衛隊撤収の影響を受けることはありません。我が国は南スーダンの国家建設の新たな段階に,他の活動を通じて積極的に貢献する方針を決めています。具体的には,包摂的で信頼し得る国民対話への支援,人道支援,人材育成と能力・制度構築,そして従来からの開発援助などです。
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公衆衛生緊急オペレーションセンターの起工式 | アウィール州歳入庁の設立式典 |
我が国のこの固い決意は,ごく最近の一連の具体的な行動で示されています。我が国は,南スーダンにおける二次医療の主要ドナーの一つとして,WHOやイッガ副大統領とともに公衆衛生緊急オペレーションセンターの起工式に臨席しました。アウィールでは,我が国とUNDPで一緒に,社会サービスの財源を持続可能な形で確保するための州歳入庁の設置式典に出席しました。農業,職業訓練,栄養,水・衛生分野等を対象とした新たな復興事業も,同じくアウィールから開始すべく,我が国も参画して準備を進めています。政府・市民社会の若手実務者が広島で研修するUNITAR南スーダン奨学事業も,労働大臣の臨席のもと3年目の開始行事を行いました。私自身,これら全てに立ち会いました。
JICAは,カンパラの事務所から引き続き幅広い支援を行っています。ジュバに戻り主要事業を再開するためには,治安状況の改善と安全対策の強化が不可欠です。
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第2回国民結束の日スポーツ大会 | ウガンダでのJICA研修 写真提供:JICA |
最近立ち上げられた国民対話は,信頼性と包括性のあるものとして,成功させなければなりません。キール大統領と運営委員会,事務局構成員の対話への強い決意を歓迎します。私は全ての南スーダン人に対して,敵対行為を停止して対話に参画し,南スーダン衝突解決合意に沿った形で和解の達成,治安部門の改革,国民経済の改善に取り組むよう呼びかけたいと思います。
地域保護部隊(RPF)の早期展開と運用開始も極めて重要です。RPFの存在は,ジュバの治安のみならず,国民対話に際して自由な討論を行う環境を整備し,更に首都におけるUNMISSと政府治安機関の緊密な連携協力関係を担保するものです。南スーダン政府が,RPFのみならず全国でUNMISSの全ての活動と完全かつ積極的に協力することを期待しています。
日・南スーダン関係は,これから新たな段階に入ります。UNMISS派遣自衛隊施設部隊の成果を基盤に,我が国は持てる知識や資源を全て活用し,支援効果の最大化を目指します。これは,南スーダンが,国際社会との緊密な連携と協力のもと,自らのリーダーシップにより,平和と繁栄を達成する責任を果たすためのものです。その実現に向けて,私は引き続き全力を尽くします。